ss腫瘍・血液20152016

腫瘍・血液

2016① 57%

男性ホルモンは再生不良性貧血の治療に用いられるが女性ホルモンは使用されない。

 

息苦しさはモルヒネの副作用ではない。モルヒネはむしろ呼吸の苦しさを伝える受容体に働き、息苦しさを和らげることが裏付けられている。

 

BCR-ABL1融合遺伝子は、9番22番染色体転座[t(9;22)]により生じるフィラデルフィア染色体(Ph染色体)上に存在する。慢性骨髄性白血病やPh陽性リンパ性白血病の原因となる。

 

シスプラチンは投与量累積的に第8脳神経障害をきたすが、高音性の難聴が特徴的であり、電話など受話器での聴取が困難になる。

ビンクリスチンは末梢神経障害に注意を要する。位置覚、関節覚異常や老齢者では便秘に注意する。

リツキシマブの最も注意すべき副作用の一つにインフュージョンリアクションがある。即時型アレルギーのパターンであり、薬剤熱もある。顔面の発赤などを伴うときは喉頭浮腫を併発し、重篤化しやすいといわれている。このためステロイド、解熱薬などを前投薬とする。 イマチニブは造血器障害や消化器症状が主である。肺毒性はまれにある。 メトトレキサートは腎障害、皮膚粘膜障害に注意を要する

 

AMLの発症には、増殖シグナルに関わる遺伝子異常(classⅠ変異)と分化ブロックに関与する遺伝子異常(ClassⅡ変異)の関与が必要である。

 

Evans症候群=AIHA+ITP

 

AIHAでは溶血の結果、赤血球の逸脱酵素としてLDH1、LDH2が増加する。

 

ヘプシジンは20世紀の終わりに発見されたホルモンであり、肝臓で産生され、鉄の吸収を抑制する働きを持つ事が知られている。 ヘプシジンはフェロプルチンという物質と相互作用し、腸管における鉄吸収、マクロファージからの鉄の遊離を抑制する働きを持つ

血液中の鉄が多い時、あるいはIL6の働きによりヘプシジン合成は増えて血清鉄の上昇を抑えるはたらきがある。一方、血液中の鉄が少なかったり酸素欠乏の状況ではヘプシジンの合成は減少し、生体は鉄を吸収しようとする。

膵癌診療ガイドラインによれば、膵癌を疑った場合に初めにすべき検査としてCT(造影)やMRIを推奨しており、これらの検査で確信が得られないときは超音波内視鏡検査をおこなう。

 

2016② 50%

モルヒネとその主たる活性代謝産物であるM6Gは腎臓から排泄されるため、血液透析を受けているがん患者には使用しないことが多い

 

膵管内乳頭粘液性腫瘍は膵癌の前癌病変として慎重な経過観察が必要である。根治的外科的切除後の5年生存率が20-30%である。

 

甲状腺ホルモン自体にはエリスロポエチン様作用があるが、甲状腺機能亢進症に貧血を合併することがあり、脾機能亢進などが原因。

 

発作性夜間ヘモグロビン尿症はGPIアンカー型膜蛋白であるCD55/59の欠損により、補体による血管内溶血を来す後天性疾患であるが、造血幹細胞のクローン性疾患でもある。本症例は日本に多い骨髄不全型で、汎血球減少を伴う。

 

血栓性血小板減少性紫斑病

ADAMTS13の活性低下により、超高分子量vWFが出現して血小板血栓が多発する疾患。典型例では血小板減少、細小血管障害性溶血性貧血、動揺性の精神神経症状、腎機能障害、発熱の5徴がみられる。

↑症状的にHUSと類似している。

TTPの治療:血漿交換が第一選択 ステロイド療法を併用する場合が多い。※TTPに血小板輸血は禁忌

 

HER2過剰乳癌はトラスツズマブのみでは再発予防効果が不十分であり、通常化学療法も行う。

 

悪性リンパ腫の再発症例で、救援化学療法が有効であった場合、まず検討されるべき治療は自家末梢血幹細胞移植である。高齢(65歳以上)、または臓器機能障害から移植適応がなければ救援化学療法のみで治療を終了する場合もあるが、期待される予後は自家末梢血幹細胞移植に劣る。自家骨髄移植は、末梢血幹細胞が採取できないなど特殊な状況でなければ現在選択されることはない。同種骨髄移植、同種末梢血幹細胞移植は、悪性リンパ腫の第二寛解期では通常選択されない。

 

胃癌病期Ⅲで術後半年なのでフッ化ピリミジン系抗がん薬S-1による術後再発予防治療を通常受けている(標準治療1年間)。

 

2015① 66%

主要4死因とは悪性新生物、心疾患、肺炎、脳血管疾患の順である。

悪性新生物の人口10万対死亡率は、昭和56年以来1位である。

平成24年の女性悪性新生物死亡数1位は大腸癌である。2位は胃癌。

 

フェンタニルは強オピオイド鎮痛薬の中で唯一、脂溶性が高く、皮膚から容易に吸収される。その他の強オピオイド製剤は水溶性であり、皮膚から吸収されることは少ない。

 

鉄の上皮での吸収は金属イオントランスポーターDMT-1(divalent metal transpoter-1)によって行われる。

へプシジンはフェロポルチンを介して消化管からの鉄吸収を阻害する

 

本邦における先天性血栓形成素因としては、プロテインC、プロテインS、アンチトロンビンの欠損症・低下症が重要である。第ⅩⅢ因子欠損では遅発性の出血(後出血)、無フィブリノゲン血症やα2プラスミンインヒビタ欠損症では出血傾向が前面に出る。

α2プラスミンインヒビターやプラスミノーゲンアクチベーターインヒビターは、線溶阻害因子。

 

甲状腺機能亢進症も、低下症も続発性貧血の原因となることがよく知られている。 ACDの貧血の原因は鉄代謝の異常等によっておこるとされている。

 

類上皮細胞やLanghans型多核巨細胞ではときに、Schaumann体や星状体が出現する。乾酪壊死、膿瘍は伴わない。

 

肛門管癌はMMC(マイトマイシン)を含めた根治的化学放射線治療による根治性が認められる。

↑一方、直腸癌は放射線療法で根治することはできない。

 

CA19-9は、消化器癌の腫瘍マーカーであるが、特に膵臓癌や胆道癌で高い陽性率を示す。神経内分泌腫瘍のマーカーとしてはNSEやpro GRPが一般的である。

 

非ホジキンリンパ腫の国際予後指標

・年齢>60際

・病期≧Ⅲ期(Ann Arbor分類)

・Performance Status

LDH>正常上限

・節外病変>2個

 

MDS(骨髄異形成症候群)の国際予後スコアリングシステム

・染色体異常

・骨髄中の芽球の割合

・Hb

・Neutro

・Plt

 

小型球状赤血球が出現する疾患として、自己免疫性溶血性貧血は重要である。

小型球状赤血球が認められること、サイズが大きい網赤血球の増加により血液像は2相性を呈するのが特徴である。本症例でも網赤血球が著明に増加していることにより、MCVで評価すると大球性貧血となっている。その診断にはクームス試験が用いられる。

 

食道表在癌の内視鏡治療の絶対適応は粘膜上皮の癌、粘膜固有層まで浸潤した癌である。粘膜筋板~粘膜下層への浸潤が0.2 mm未満の癌に関しては諸検査でリンパ節転移を認めなければ内視鏡治療の相対適応となる。粘膜下層に0.2 mmを超えて浸潤した食道癌は約半数でリンパ節転移があり、通常内視鏡治療の適応とはならない。

 

骨髄異形成症候群(MDS)の治療

  1. 低リスク臨床症状なし…経過観察
  2. 低リスク臨床症状あり…シクロスポリン、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、サイトカイン療法、レナリドミ
  3. 高リスク同種移植困難例…脱メチル化薬(アザシチジン)
  4. 高リスク同種移植可能例…同種造血幹細胞移植

 

急性白血病の診断は末梢血か骨髄で芽球が20%以上となるが、特定の遺伝子異常が存在するものについては20%未満でも診断が可能である。RUNX1-RUNX1T1 mRNAはこの代表的な遺伝子異常であり、本症例は急性骨髄性白血病と診断ができる。そこで、治療法としては多剤併用化学療法が選択される。

 

2015② 66%

悪性腫瘍における異形成は、一般的に前癌病変であり、予後予測とは関連しない。化生は腫瘍の発生母地として重要な病態であり、血管新生は腫瘍の増殖に伴ってみられるが、予後予測因子とはいえない。

 

低pH、低栄養、低温では放射線感受性が低下する。

低酸素細胞に酸素細胞と同じ効果を与えるためには通常2~3倍の線量が必要となるため、低酸素細胞は放射線抵抗性である

 

濾胞性リンパ腫

増殖速度の緩やかな、低悪性度リンパ腫である。 無痛性リンパ節腫脹が特徴的であり、B症状はまれ。

多くの症例で、t(14;18)(q32;q21)が認められる(bcl-2の過剰発現)。 経過中に組織転換することがあり、その場合治療抵抗性であることが多い。

鉄欠乏性貧血の治療法としては、フェリチンが正常化するまで鉄剤を投与する。  鉄剤を内服すると、吸収されなかった分の鉄が排泄され、便は黒色となる。 鉄の一日必要量は成人男子は10㎎/日、成人女子は12~15㎎/日なので、10~15㎎/日が妥当。

 

真性多血症と相対多血症のちがいは、エリスロポエチン値。Epo↓なのにRBCふえてたら真性、Epo↑だったら必要にかられてRBC産生しているだけなので相対。

 

免疫抑制療法が効果なかった場合、造血幹細胞移植が考慮されるが、4人兄妹であるのでまず血縁者間の移植が選択され、兄妹のHLA検査を行うこととなる。

 

多発性骨髄腫の治療

65歳以上または移植適応のないものには化学療法、65歳以下で移植適応のあるものには導入化学療法に続き移植療法(自家移植)を行う。

ボルテゾミブ(プロテアソーム阻害薬)が第一選択薬として用いられている。

 

NAPスコア↓:CML、PNH

NAPスコア:急性転化、骨髄線維症、真性多血症

 

GVHD(急性移植片対宿主病)の治療は免疫抑制剤の投与であり、グレードⅡ以上のAGVHDに対して副腎皮質ステロイド剤の投与が行われる。また下部消化管GVHDの場合、下痢のため脱水になりやすく、十分な輸液を行い、脱水にならないように注意しなければならない