ss精神科2016

精神科

2016① 68%

せん妄の幻覚では幻視が多いが、時に低活動性のせん妄も出現する。認知症に伴って出現することもある。

 

双極性障害躁うつ病)は、発病に遺伝素因の関与が大きい。女性に多い単極型うつ病とは異なり、発生率に性差はない。人種差についても同様である。発症は単極型うつ病と比較して早く、95%以上が25~26歳までに初発するという報告がある。

 

爽快気分は、気分が高揚して活気に満ちた状態であり、躁状態でみられる。 感情失禁は、些細なことで泣いたり怒ったりと強い情動反応がみられることで、脳器質性精神障害でみられる。感情鈍麻は器質性精神病や統合失調症でみられる。妄想気分は、あらゆるものが新たな意味を持ち周囲が不気味に感じられるという、妄想(思考障害)の1つである。

 

代表的な抗認知症薬にはNMDA受容体阻害薬アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(塩酸ドネぺジルなど)がある。

代表的な抗不安薬は後シナプスのγ-アミノ酪酸(GABA)受容体に存在するベンゾジアゼピン結合部位に作用する。 代表的な気分安定薬神経細胞のナトリウムイオンチャネル等に作用すると考えられている。

 

短期記憶の分類

  1. 即時記憶
  2. 近時記憶
  3. 作動記憶…いわゆるワーキングメモリー 短期記憶だけど前頭前野が関わっていて特殊

短期記憶は海馬を中心とした辺縁系が関与し、秒単位の即時記憶と数分〜数日までの近時記憶がある。干渉をいれずに復唱させることで検査するのが即時記憶、干渉後に再生させることで検査するのが近時記憶である。

 

長期記憶

  1. 陳述記憶…エピソード記憶(加齢で障害されやすい)、意味記憶
  2. 非陳述記憶…手続き記憶

 

けいれんは身体全体あるいは身体の一部に現れる運動症状である。脳の機能で随意運動を司る部分は中心前回であり、その部位の障害は対側身体の運動症状(けいれん)ないし麻痺として現れる。

 

精神疾患において最も注意すべき出来事は自殺である。統合失調症においては急性期治療後にうつ状態となるが(これを精神病後のうつ状態とよぶ)、この時期には陽性症状は消退したものの自己評価が低下しうつ状態となり、社会復帰が困難と強く感じることが多い時期で自殺につながりやすい時期である。

 

小児期のADHDの併存障害は反抗挑戦性障害や素行障害が多い。

 

躁状態薬物療法としての第一選択は、炭酸リチウム、バルプロ酸カルバマゼピン抗精神病薬である。

塩酸ドネペジルは抗認知症

塩酸メチルフェニデート製剤はナルコレプシーやAD/HD

 

解離性(転換性)障害は、若い女性に多く、症状を呈することによって葛藤や欲求不満をとりあえず回避できるという一次疾病利得と周囲から心配してもらえるという二次疾病利得があるとされる。

 

行為障害は反復し持続する反社会的、攻撃的な行動パターンが特徴である。

表出性言語障害とは言語理解が正常であるにもかかわらず、表出言語を使用する能力が年齢に比して明らかに遅滞しているものである。自閉症と異なりコミュニケーションを求める傾向は認められる。

 

アルツハイマー病では記憶障害が認められ、MMSEなどの検査では遅延再生課題や時間見当識の課題で失点しやすい。脳血流SPECTでの頭頂葉連合野の血流低下が目立つ。

 

アルコール依存症ベンゾジアゼピン抗不安薬を投与するのは「アルコール離脱期の振戦せん妄に対して」であって、アルコールを常用している頃に服用させても意味がない。

 

通過症候群…脳が器質的に障害を受けた際の回復過程において、意識障害などを起こす急性期と、痴呆などを起こす慢性期の中間時期に起こる一過性の精神症状群。自発性の低下や幻覚妄想が生じたり、情動障害、記憶障害、躁状態うつ状態などの症状が現われる。回復するに従い、重度通過症候群から、中度通過症候群、軽度通過症候群を経て回復に向う場合と、痴呆症や人格変化などの障害が残ってしまう場合のいずれかへと移行する。

 

患者の同意もなく勝手に産業医や家族に連絡することは個人情報保護の観点から出来ない。

 

統合失調症の投薬について

現在、非定型抗精神病薬を第一選択薬として処方するため、リスペリドンとオランザピンが適当である。定型抗精神病薬ハロペリドールも有効だが、副作用の観点から定型抗精神病薬は第一選択薬とはならない。

 

2016② 73%

小動物幻視…レビー小体型認知症、アルコール依存

 

幻覚には、幻聴、幻視などが有名ですが、他にも、幻嗅(げんきゅう)、幻味、幻触、そして、体感幻覚があります。 幻覚とは、「対象無き知覚」といわれます。 有名なことばです(これを知らない精神科医はモグリと言っていいくらい有名です)。

 

幻臭は、側頭葉てんかん、脳腫瘍、統合失調症、薬物中毒などで出現する。 体感幻覚(セネストパチー)は統合失調症で特徴的であるが、器質性精神障害うつ病でも認められる。幻覚の一種の「幻触」と、異様な皮膚感覚が合わさった体性感覚の幻覚。皮膚感覚には、何かが接触していると感じる触覚、押されている感じる圧覚、痛く感じる痛覚、熱い・冷たいと感じる温度覚など幾つかの種類があるが、特に「統合失調症」の場合は、骨がぼろぼろ崩れる感じや、頭の中が粘つく感じ、脳味噌がとけるような感じ、体内の突起した異物感など、妄想的な主訴が目立つ。

 

対話性幻聴は統合失調症に特徴的な症状である。

 

自殺は自己保存欲の障害である。

行為心迫は欲動の亢進に伴って見られる症状であって、強迫性障害ではない

 

糖脂質代謝異常の副作用が問題となるのは、第一世代(定型)抗精神病薬ではなく第二世代(非定型)抗精神病薬である。

 

統合失調症の経過…初期→急性期→回復期→慢性期

初期分裂病の症状特異的四主徴は自生思考(とりとめもない考えがうかんでまとまらなくなる)、漠とした被注察感、気付き亢進(周囲の反応などに特定の意味があるように感じる)、緊迫困惑気分

 

抑うつ障害群は、近年増加傾向を示しており、その生涯有病率は、大うつ病エピソードで男性12.7%、女性21.3%、全体17.1%とされている。

 

ADHD男児に多く、分類には、多動衝動型、不注意優勢型、混合型がある。多動症状は概ね中学生くらいになると落ち着くが、不注意症状はその後も残存する。

 

重症うつ病の治療について

薬物療法としては非定型抗精神病薬抗うつ薬の併用療法が、それぞれの単剤療法より有効という報告がある。重症で緊急性もあるため電気けいれん療法の適応にもなろう。認知療法は症状が軽快したのちに行う。

 

前兆のある発作:単純部分発作