ss腎・泌尿器2015

腎・泌尿器

2015① 83

移植腎における急性拒絶反応が疑われた場合は、画像上腎動脈血栓症水腎症が否定されれば、治療方針決定のため積極的に腎生検を行う。(実質片腎状態みたいなものだけど、本当の片腎とは違って腎生検OK)

 

尿蛋白排出の程度は腎予後のみならず、心血管合併症の発症リスクとも関連するため重要である。血尿は関連しない。

 

慢性アルコール中毒では、腸管からの吸収低下により低リン血症を来たす。

 

PTH:血中Ca↑、血中P↓

活性化vitD3:血中Ca↑、血中P↑

カルシトニン:血中Ca↓、血中P↓

 

心拍出量の約20-25%の血液量が腎臓に供給され、濾過される。

 1 日に約150 L の原尿が生成される。

 

設問にある薬剤のうちインスリン、β刺激薬、テオフィリン、ループ利尿薬は型カリウム血症をきたす。その他、サイアザイト系降圧薬、プラチナ系抗腫瘍薬、トルエン、シンナー、アムホテリシンBも覚えておきたい。

 

 高血圧基準値は診察室血圧、家庭血圧で異なる。診察室血圧値は140/90mmHg以上、家庭血圧値は135/85mmHg以上である

 

溶連菌感染後糸球体腎炎の典型例。尿たんぱくが遷延する場合やネフローゼを呈するまれな症例ではステロイドを使用することがあるが、一般的に自然寛解することが多いので経過観察する。

 

IgA腎症の大部分が無症状、健康診断などでの顕微鏡的血尿や蛋白尿の指摘などでみつかる

→腎生検でメサンギウム増殖性変化

 

慢性腎不全の患者にビタミンD製剤が投与されたため、高カルシウム血症が起こり、腎障害が進行したと考えられる症例。

 

、高度腎機能障害を認めるが、腹部エコー上腎の委縮を認めない事から、急速進行性糸球体腎炎等が疑われる。

腎生検では半月体形成が認められ、免疫染色では免疫グロブリン、補体とも陰性であることから、抗好中球細胞質抗体陽性(ANCA関連腎炎)が強く疑われる。GBM抗体腎炎、SLE、クリオグロブリン腎症、溶連菌感染後糸球体腎炎においても、半月体は形成されるが、免疫グロブリンや補体は陽性となる。

 

封小線源永久挿入療法(ブラキセラピー)は、限局性前立腺癌を対象とし、低Gleasonスコア、低PSA値の低・中リスク癌がよい適応とされている。3次元原体照射法は外照射の照射方法である。密封小線源永久挿入療法の至適線量は144Gyが推奨されている。有害事象として、治療直後には頻尿や切迫感がほとんどの患者にみられるが、放射線性膀胱・直腸障害・勃起障害は少ない。

 

尿管は後腹膜腔に存在し、一般外力による損傷は受けにくい。多くは骨盤内手術や尿路内視鏡手術中に損傷することが多い。

最も重症な腎茎損傷では血尿を伴わない。

膀胱損傷は、挫傷程度なら、血尿と下腹部痛のみ、腹膜内に破裂すると、血尿と自尿の消失し腹膜刺激症状を伴う。尿道の振子部は、可動性が大きいので損傷は少ない。後部尿道(膜様部)損傷は骨盤骨折を伴っていることが多い。

 

無症候性血尿では膀胱鏡検査を優先して行うが、明らかな尿路感染を認める場合は抗菌薬を投与して消炎後、改善しなければ次の検査の予定をた立てる。したがって正解は抗菌薬の投与である。

 

LH-RHアゴニストはテストステロンを低下させる前立腺癌の治療薬である。副反応として勃起障害が挙げられる。

 

尿管結石の疝痛発作は尿管結石により尿管が急に閉塞し、急性水腎症となり結石上部が膨れあがることによる。大量の点滴で排石を計ろうとすると、水腎は増悪し、かえって疼痛はひどくなる。尿管結石周囲の尿管粘膜は浮腫を起こしており、このときの体外衝撃波結石破砕術は行わない。抗菌薬は細菌感染症ではないので無意味である。正しい治療法としては鎮痛坐薬を挿入し、疼痛部を温めて尿管を広げるとよい。抗コリン薬も尿管を広げるので有鈎である。コリン作動薬は尿管の蠕動を亢進させ、疼痛を増悪させる。

 

尿路結石全体の90%を占めるカルシウム結石(シュウ酸Ca、リン酸Ca)はいずれもX線にうつる。両者とも、サイアザイド系利尿薬などによる結石溶解療法の適応がある。

反対に、尿酸結石はX線にうつらず溶解はクエン酸製剤。

なお、CTではすべての結石を描出できる。      

 

腎細胞癌について

腎癌の手術では、尿管は可及的末梢(血管交差部あたり)で切断する。一方腎盂癌の手術では尿管膀胱移行部まで摘出する。

無症候性のことが多い。肉眼的血尿が見られるのは数%のみである。

腎癌取扱規約では、腫瘍径7cm以上であれば、腎に限局していてもⅡ期である。

明るい胞体、小型の核を有し、典型的な淡明細胞癌の所見である。腎細胞癌の70~80%は淡明細胞顔であり、淡明細胞癌は近位尿細管上皮由来で、約60%にVHL遺伝子の異常を認める。

根治的腎摘除術では腎周囲の脂肪組織を一塊にして摘出するが、リンパ節郭清は行わない。

 

2015② 76%

白血球上昇では偽性低カリウム血症を生じる????

 

高脂血症は偽性低Na血症を呈する。ネフローゼ症候群は有効循環血漿量低下により低Na血症となる。

 

RTAⅠ型では尿管結石が多くみられる。

II型(近位型)は高Cl血症を呈する。

 

原発性アルドステロン症は低K血症だが代謝性アルカローシスが見られ、PRAが抑制される。

フロセマイドは血圧正常、低K血症、代謝性アルカローシスを呈し、RAA系が亢進する。

 

糖尿病による腎障害によって二次性ネフローゼ症候群を呈し、腎機能低下が進行したと考えられる症例である。微量アルブミン期を経て、尿蛋白が顕性化すると腎機能低下は進行性となり、透析導入を免れることは難しくなる。高度蛋白尿を伴う糖尿病症例は心血管合併症のリスクが極めて高く、その予防としては血糖値の是正、降圧療法の強化が重要となる。

 

多発性嚢胞腎

肝臓や腎臓の腫大により消化管が外部より圧迫され上部消化管の通過障害がおこることで、しばしば逆流性食道炎の合併を認め食欲不振の原因となる。悪性腫瘍のスクリーニングを含めて上部消化管内視鏡検査を実施する。

栄養障害をきたす場合、腫大した腎臓および肝臓を縮小する目的で腎動脈および肝動脈塞栓術を検討する。

 

アミロイドーシスでは腎障害に加えて心不全や自律神経障害を認めることが多く、本症例では低血圧が認められ、ふらつき症状も認められことから、既にアミロイドの沈着が疑われる。

 

男性の尿路クラミジア感染検査は尿PCR方が最も優れている。

 

クッシング症候群では、健側の副腎機能が抑制される。

良性の副腎腫瘤から持続的にコルチゾールが分泌される疾患が注目されている。 ホルモン値は正常値に近いが、耐糖能異常、高血圧、脂質異常症、骨折などの原因になる。 「サブクリニカルクッシング症候群」と呼ばれ、看過できないという見方が強まっている。

 

精巣膿瘍

若年男性に好発し、無痛性陰嚢腫大を訴えることが多い。

リスクファクターは停留精巣

生検禁忌!!!!! 精巣膿瘍を疑ったら高位精巣摘除術で摘出して、組織学的な診断をつける。

95%が胚細胞腫瘍であり、胚細胞腫瘍のなかでさらにセミノーマ(精巣上皮腫)と非セミノーマに分かれる。→治療法が異なってくる

セミノーマ:AFP- 治療はケモラジ

非セミノーマ:一版にAFP+ 治療はケモ+後腹膜リンパ節廓清(転移があってもケモ著効するため予後は良い)

 

TURPとアルファーワンブロッカーはそれぞれ前立腺肥大症の標準的な手術療法と内服治療である。

夜間に1回トイレに起きるが通常2回未満は正常とみなされる。健康ではあるが79歳であることより肉体的負担の大きい前立腺全摘除術は通常適応されない。

LHRHアゴニストは安易に適応されることが多いが、この治療により男性ホルモンが低下し結果的に全身の筋力も低下するので登山を趣味としている本患者には適応しない。