ss腎・泌尿器2016

 

腎・泌尿器

2016① 70

椎骨を挟んで左に腹部大動脈、右に下大静脈がある

左腎静脈は腹部大動脈と上腸管膜動脈の間に挟まれる位置にある。このため左腎静脈は両血管に挟まれて血尿を来たす事がある(Nutcracker現象)。

上・中副腎動脈は直接大動脈に流入するが、下副腎動脈は左右の腎動脈に流入する。

右副腎静脈は下大静脈に直接注ぐ一方、左副腎静脈は左腎静脈に注ぐ。

 

eGFRは血清クレアチニン、年齢、性別をもとに計算される。畜尿などは不要であり、血液検査のみで簡便に腎機能の評価をする目的で考案された。

 

偽性副甲状腺機能低下症…PTHに対して骨・腎臓が反応しないため、副甲状腺機能低下症と同じく低Ca血症、高P血症が生じる病態である。PTHは二次性に上昇している。

病型分類にはEllsworth-Howard試験を行う。

 

慢性アルコール中毒では、腸管からの吸収低下により低リン血症を来たす。

骨軟化症ではビタミンD欠乏により低リン血症を呈する。

 

1日尿量で400ml以下が乏尿、100ml以下が無尿と定義される

腎後性急性腎不全では、病歴や身体所見に加えて、下部尿路の閉塞や水腎症の存在を超音波検査やCT検査などの画像所見から診断される。

 

腎機能検査

  1. 血漿流量の検査…パラアミノ馬尿酸クリアランス、PSP排泄試験(15分値)
  2. 糸球体ロ過量の検査…イヌリンクリアランス、クレアチニンリアランス
  3. 近位尿細管機能の検査…尿中β2-ミクログロブリン排泄量、尿中NAG排泄量、PSP排泄試験、炭酸水素ナトリウム排泄試験
  4. 遠位尿細管機能の検査…Fishberg濃縮試験、塩化アンモニウム負荷試験、バソプレシン試験

 

腎生検が禁忌となる病態…片腎、出血傾向、慢性腎不全、水腎症、尿路感染症、嚢胞腎、妊娠、呼吸障害、心不全、重症高血圧 など

 

尿崩症はADHの腎での作用不全による尿濃縮障害のため高Na血症の原因となる。

ネフローゼ症候群は有効循環血漿量低下により低Na血症となる。(つまり水は減るけどNaの減少のほうが程度が強い)

 

まず、高ナトリウム血症についてです。 身近な病態のように思えますが、実は臨床で出会う機会はそう多くないと思います。 これは、高ナトリウム血症引き起こす機序として 1. 口渇による飲水行動の障害 2. ADH作用低下 の両方がなければ、すぐさま細胞外液に自由水が入って来てしまうからです。

 

糸球体疾患に合併する疾患

膜性腎症…悪性腫瘍、HBVHCV、関節リウマチなど

膜性増殖性糸球体腎炎…HCV

巣状糸球体硬化症…HIV

 

糸球体性尿タンパクの主成分はアルブミンである。尿混濁は感染を疑う(膿尿、白血球混入)←タンパク尿を疑うのは別。

ミオグロビン尿では尿潜血反応と尿沈渣の乖離がみられる。

 

IgG4関連腎症は間質性腎炎を呈します。

 

尿が出ていない原因としては子宮全摘術後の癒着、癌の再発によるによる尿閉高カルシウム血症による脱水などを考えたい

 

沈査では白血球が認められることが多く、特に白血球円柱は白血球が腎から出ていることを示唆しているため診断上有用である。

 

腎機能低下に伴い、腎によるインスリン代謝が低下するため遷延性低血糖の危険性が増大する。つまりCKDの進行にあわせて糖尿病治療薬の用量調節には細心の注意を払う必要がある。重度の低血糖は迅速に治療しないと致命的となるため、直ちにブドウ糖液の静脈内投与を行う。

 

カリウム血症の治療にブドウ糖+インスリンの投与、重曹の投与、陽イオン交換樹脂の投与を行う。

 

高カルシウム血症の治療

  1. 生理食塩水の点滴投与(細胞外液を補充し、排泄を促す)
  2. フロセミド投与

など

※Bartter症候群はフロセミド投与時と同じ機序、すなわちCaを排泄できるので高Ca尿症となり腎石灰化や成長障害が起きる。サイアザイドはCaに関してはこの逆。

 

実質臓器の炎症、あるいは腫瘍の場合は発熱を伴うが、管腔臓器の炎症の場合は発熱は認めない場合が多い。

 

脊髄損傷、パーキンソン病、糖尿病では神経障害のため、神経因性膀胱となる可能性がある。また骨盤内手術による骨盤内神経の外的損傷に伴い、神経因性膀胱が発症する場合がある。前立腺肥大症術後は、尿道括約筋の損傷が一時的に起こるため、むしろ尿失禁が発症することがある。

 

原発巣としての腎臓を摘除し、遠隔転移も可能であれば手術で摘除することが、腎細胞癌の治療方針である。VHL病では血縁者の約40%で腎細胞癌を発症するといわれている。結節性硬化症に多く合併するのは腎血管筋脂肪腫である。造影CTで早期相で腫瘍が濃染されるのが腎細胞癌の特徴である。

 

排尿障害でまず行う検査として、非侵襲的で簡便である腹部超音波検査を行い、前立腺重量や残尿量などを確認する。

 

膀胱内視鏡検査で両側尿管口は同定できなかったため尿管ステント留置は困難である。よって腎瘻造設術を行うのが適切と考えられる。

 

2016② 66%

血清ナトリウム濃度は本来血漿浸透圧を反映しているはずである。(Posm=2XNa+BUN/2.8+血糖/18)。 血清ナトリウム濃度が血漿浸透圧を反映していない場合は先ず高血糖と高蛋白血症、高脂血症を考える。高血糖は血糖が高いために細胞外液の浸透圧が高くなり、細胞内液から水を引く。そのためナトリウムは水に薄められ低ナトリウム血症となる。

高蛋白血症、高脂血症は血清中の固形成分である蛋白や脂質量が増加すると水に溶けているナトリウム濃度が正常でも血清中のナトリウム濃度が低くでることがある(偽性低ナトリウム血症)。

←浸透圧はタンパクなどの水でない成分は省いて計算するが、Na濃度計算の際はタンパクなどの成分もまとめて「水」として計算されてしまうから。

 

IgA紫斑病は低補体血症を呈さない

 

輸血製剤中にクエン酸塩を含むので大量輸血では代謝性アルカローシスをきたす。

 

日本の透析患者は増加し続け、2014年12月31日現在320,448名。そのうちCAPD(腹膜透析)患者は9,255人であった。原疾患は糖尿病が第1位、慢性腎炎が2位である。日本の透析患者の平均生存期間は約6-7年である。透析患者は心血管系の合併症をおこしやすく、死因の上位を占める。

 

2012年のKDIGOガイドラインでAKIは血清クレアチニンが、1日に0.3mg/dl以上増加、または7日以内の前値の1.5倍以上に上昇、または尿量0.5ml/kg/hour未満が6時間以上持続のいずれかを満たす状態と定義されている。

AKIでは一般的にカロリー必要量は増加しており、不必要なカロリー制限は避けるべきである。 高カリウム血症やうっ血性心不全は緊急透析の適応で、迅速に対応する。

 

尿細管性アシドーシス遠位型では尿路結石が多く見られる。

Ⅰ型とⅡ型の鑑別

Ⅰ型は塩化アンモニウム(NH4Cl)負荷試験でも尿pHがあまり低下しない(酸排泄障害)

Ⅱ型は炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)負荷試験でもFEHCO3-があまり低下しない(塩基再吸収障害)

 

ネフローゼ=腎前性腎不全の状態(有効循環血漿量が少ないから)

 

腎硬化症は基本的に小葉間動脈などの動脈が主病変であって、糸球体ではない。

 

溶連菌感染後急性糸球体腎炎とIgA腎症はまったく別物!

 

ADAMTS13…フォンウィルブランド因子切断酵素。TTPではADAMTS13活性が著減し、血栓がつくられまくってしまう。

 

前立腺針生検は前立腺癌の組織学的診断を目的に前立腺組織のサンプルを採取する。経直腸超音波ガイド下に経直腸的あるいは経会陰的にバイオプシーガンを用いて生検するのが標準的な方法である。

 

Cushing症候群に有用なのはアドステロールシンチ

褐色細胞腫に有用なのはMIBGシンチグラフィである

クッシング症候群では術後のステロイド補充療法が必要である

 

前立腺炎

カテゴリーⅠ…急性細菌性前立腺炎 発熱+(発熱きたすのはⅠのみ) 大腸菌最多 前立腺マッサージ禁忌!!!! 治療:抗菌薬

カテゴリーⅡ…慢性細菌性前立腺炎 治療:抗菌薬

カテゴリーⅢ…慢性非細菌性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群) 最多 治療:α受容体拮抗薬など

カテゴリーⅣ…無症候性炎症性前立腺炎

 

ⅡⅢⅣでは前立腺マッサージで採取した前立腺液とその前後の検尿による尿中白血球と細菌検査は診断に有用である。しかし急性細菌性前立腺炎の場合、その他の臨床所見から診断がほぼ可能であること、前立腺マッサージにより細菌性炎症の憎悪を来たす可能性から禁忌とされている。

 

腹部単純エックス線では、結石像を認めないが腹部単純CTでは左腎結石、左尿管結石を認める。尿酸結石はX線陰性であり最も考えられる。

 

クラミジア尿道炎にはマクロライド系が有効である