ss消化器2016

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消化器

2016① 62%

虚血性大腸炎では、突然の腹痛、下痢、血便の症状がみられる。

腸管型ベーチェット病では、回盲部を中心に潰瘍病変がみられ、腹痛、下痢、血便の症状がみられる。

胆汁は胆汁酸とビリルビンからなる。胆汁は胆嚢で約10倍に濃縮され、十二指腸粘膜から分泌されるコレシストキニンにより胆嚢が収縮し、十二指腸に放出される。胆汁酸は肝臓でコレステロールより合成される(一次胆汁酸:コール酸、ケノデオキシコール酸)。胆汁酸は小腸で95%が再吸収される(腸肝循環)。

閉塞性黄疸では胆汁うっ滞の結果、肝細胞から毛細血管への胆汁酸排泄が低下し、肝細胞内に蓄積した胆汁酸は類洞内に逆流し、血中の胆汁酸濃度は増加する。

 

急性膵炎の際、アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1、トリプシンは膵外分泌酵素であるため逸脱、血中で上昇する。ガストリンは主に胃の幽門前庭部に存在するG細胞から分泌されるホルモンである。

 

排便メカニズムを問うた問題である。小腸から大腸到達した食物残渣は、肛門側に進むにつれて水分が吸収され、S状結腸に到達して固形化し貯留する。食事摂取などによる胃壁伸展により胃結腸反射が起こり、便塊は直腸に移動する。直腸内に便塊が到達すると直腸は伸展し直腸内圧が高まる。直腸内圧が30~50mmHgに達すると、その刺激は骨盤神経を介して仙髄に存在する排便中枢に伝わり、排便反射が生じる。排便反射では内肛門括約筋が弛緩し、排便準備にはいる(←つまり便意を自覚する前にすでに内肛門括約筋は弛緩している。あとは便を出すためには外肛門括約筋を随意的に弛緩させるのみという状態)。

腸内圧上昇の刺激は排便中枢から脊髄をさらに上行し、大脳皮質にまで達し、はじめて便意が認識される。大脳での排便意思により随意筋である外肛門括約筋が弛緩し、便塊は排出される。よって正解はd。

 

食道静脈瘤の破裂出血の治療の第一選択は内視鏡的止血である。経皮的肝動脈塞栓術は肝癌の破裂出血の止血を目的に行われる。プロトンポンプ阻害薬やベータ遮断薬、バソプレシン内視鏡止血が行えない場合や効果不十分な場合などに投与される。

※食道静脈瘤の内視鏡的治療…硬化剤注入、結紮

  胃静脈瘤の内視鏡的治療…代表的なのはBRTO(主に胃静脈瘤を構成する胃-腎シャントに対し、内頸静脈や大腿静脈からバルーンカテーテルを左腎動脈まで挿入し出口部を塞栓する方法。

 

早期胃癌は癌細胞が粘膜または粘膜下層にとどまった状態であり、病変の大きさは問わない。

また、肉眼分類では本邦では内視鏡学会分類I、II、III型が用いられている。

   ギモンBorrmann分類は????

リンパ節転移は粘膜下層癌で12-20%と報告されている。

 

消化管アミロイドーシス

十二指腸からの生検が最も確定診断率が高い。 AA型の多くは関節リウマチが基礎疾患である。 沈着したアミロイド蛋白を除去する確実な方法はないが、ステロイドやジメチルスルホキシドや血液浄化療法が有効の場合がある。

アミロイドーシスの分類

  1. 非遺伝性アミロイドーシス 多発性骨髄腫や原発性マクログロブリン血症に併発するものがある。 治療:自家末梢血幹細胞移植、ケモ 主に関節リウマチに併発する・透析アミロイドーシス・老人全身性アミロイドーシス
  2.  手関節への沈着による手根管症候群の頻度が高い
  3.  消化管、腎臓に沈着
  4. ・AAアミロイドーシス
  5.  心臓、消化管、肝臓、腎臓、神経など多岐にわたって沈着する。
  6. ・ALアミロイドーシス

2.遺伝性アミロイドーシス

 

大腸内視鏡写真は樹枝状血管が全周性に認められ、ハウストラも見られる正常大腸粘膜像である。憩室も認められないので、a~dは否定的である。また、症状はRoma IIIの過敏性腸症候群の診断基準を満たすことから、過敏性腸症候群と診断できる。

※大腸の長さは約1.5m

 

肝切除、ラジオ波焼灼、TAEを施行すると正常な肝細胞への影響もあるため、肝予備能が低い場合は適応とならない。

TAEの適応は「腫瘍数は4個以上」または「腫瘍径が3個以下であったとしてもひとつでも3cm超のものがある場合」

肝切除は「3個以内。それぞれの腫瘍径は問わない」

ラジオ波は「3個以内かつ3cm以内」

 

red color signは食道静脈瘤における内視鏡所見で破裂の危険性と関与する徴候である。

 

急性腹症とは:

急激な腹痛を主訴とし、その原因が腹部の諸臓器、組織の病的変化によるものと推測されるもので確定診断に至らないが急性の経過をとるため、緊急開腹手術の適応か否かの迅速な判断が要求される疾患群にとりあえず用いられる総称です。

つまり腹壁反応に限らず、胆嚢、Murphy兆候などなんでも含まれる

 

ピロリ除菌について

除菌判定は除菌後4週以降に行う。

除菌治療後の消化性潰瘍再発率は10%以下である。 

除菌治療ではクラリスロマイシンの耐性が問題となっている。

萎縮の強い例や食道裂孔ヘルニア合併例では除菌後に胃食道逆流症(GERD)が出現することがある。

ピロリ除菌3種の神器:PPIクラリスロマイシン(MNZ)、アモキシシリン(AMPC)

 

内ヘルニアは腸間膜ヘルニア、大網ヘルニアなどで、全ヘルニアの5%と少なく、外ヘルニアは臍ヘルニア、鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアなどで、全ヘルニアの95%と多い。

 

内鼠径ヘルニアのヘルニア門は鼠径管後壁である。

小児の鼠径ヘルニアは腹膜鞘状突起の遺残により、外鼡径ヘルニアが多い。

 

胃に限局するGISTでは胃部分切除が標準術式である。

 

Meckel憩室の存在部位は回腸遠位である。

小腸がんは予後不良である。 上腸間膜症候群は稀に手術適応となることがあるが、自然軽快することが多い。 急性上腸間膜動脈閉塞症は心房細動が原因の塞栓症であることが多い。 クローン病による小腸狭窄には狭窄部位形成術が主流である。

 

肝硬変で出血素因がある。胃癌術直後の出血で血圧が下がり、頻脈となっている。 出血性ショックであるので輸血で循環血液量を保つ必要がある。 昇圧剤、止血剤よりも緊急手術で原因を解決するべきである。 酸素濃度は維持されており、挿管の必要性はない。

※出血性ショックの処置は輸液・輸血。特に輸血をしぶる理由はない

 

内痔核は直腸癌ではなく肛門癌の合併が多い。 術式は内痔核の切除。核出術ではない

 

Howship Romberg兆候は閉鎖孔ヘルニア。多くはイレウス兆候で発症する。閉鎖神経圧迫症状による大腿内側から膝に及ぶ疼痛

Grey-Turner兆候、Cullen徴候:急性膵炎

 

特発性食道破裂

周囲に支持組織を欠くため、ほとんどが食道下部の左側壁に発症

マロリーワイス:胃噴門部

特発性食道破裂:食道下部の左側壁

 

食道アカラシアでは下部食道括約筋を弛緩させる目的でカルシウム拮抗薬を投与することがあるが有効でないこともある。

 

劇症肝炎:初発症状出現より8週(56日)以内にPT40%以下またはINR1.5以上を示すものをいう

芳香族アミノ酸

急性型(初発症状から肝性脳症出現までの期間が10日以内)より亜急性型(11日以降)の方が予後不良である

劇症肝炎の全身管理:アミノ酸を含まないブドウ糖輸液(急性肝不全に伴う肝性脳症の場合は、肝臓の尿素サイクルに著しい障害をきたしているため、分岐鎖アミノ酸の投与は行わない。+肝性脳症対策としてのラクツロース投与

 

 

↑これが肝障害度になると、肝性脳症のかわりにICG試験値が項目に加わる。

 

2016② 66%

C型慢性肝炎患者では、ウイルスが排除されると肝発癌率は低下するが、高齢、男性、線維化進展例(肝硬変など)では発癌例が見られるため、継続的な発癌スクリーニングが重要である。

C型肝硬変は、肝細胞癌だけでなく、胆管細胞癌の高危険群であることが知られている。

C型肝炎由来の肝細胞癌が減少している一方で、非アルコール性脂肪性肝炎を原因とする肝細胞癌が増加傾向にある。

 

また細菌感染による食中毒も少なくない。原因となりうる菌種によって、潜伏期間は大きく異なる。数時間で症状が現れる黄色ブドウ球菌から、発症まで5日ほどかかる病原性大腸菌まで様々であり、食事については、発症の前日だけでなく、数日前までさかのぼって問診することが必要である。

 

プロスタグランディンは陰イオンの分泌を亢進させ下痢を引き起こす。

抗コリン薬、リン酸コデインは腸管運動を抑制し便秘を起こす。

 

肝性脳症の原因として、脳のアンモニアに対する過敏性の増加として、アルカローシス、低K血症、腎不全などがあげられる。便秘、感染症、門脈-大循環静脈シャント、利尿薬投与は誘因となりうる。

Crohn病:非乾酪性肉芽腫

 

肝細胞障害型肝障害:イソニアジド、クロロホルム

胆汁うっ滞型肝障害:ステロイド、メチルテストステロン(両者ともコレステロールからステロイドの産生経路に関わる)

 

大腸癌は肝転移していても切除する意味がある。

 

クローン病の治療は、栄養療法、薬物療法、外科治療が行われる。薬物療法としては軽症例では5-アミノサリチル酸製薬、中等症以上では副腎皮質ステロイド薬が用いられる。難治例では抗TNFα受容体拮抗薬が使用される。血球成分除去療法が行われることもある。

ヘリコバクターピロリの感染診断には、迅速ウレアーゼ試験、尿素呼気試験、胃粘膜生検培養、血中抗体測定、便中抗原測定が行われる。

 

中年女性で胆道系酵素優位の肝機能障害を指摘。肝炎ウイルス陰性、抗ミトコンドリア抗体陽性より、原発性胆汁性胆管炎(原発性胆汁性肝硬変)と診断される。治療の第一選択はウルソデオキシコール酸である。プレドニン骨粗鬆症の増悪の可能性もあり、第一選択とはならない。

 

ピロリはグラム陰性桿菌

 

Richterヘルニアは腸壁の一部がヘルニア内容となったものをいう。大腿ヘルニアで多くみられ、嵌頓・壊死に陥りやすく、腸切除を要することが多い。 LittreヘルニアはMeckel憩室がヘルニア内容となったものをいう

 

Meckel憩室は遠位回腸にできる先天性の真性憩室である。胎生期の卵黄管(臍腸管)の遺残したものである。異所性胃粘膜が存在し、潰瘍を形成し消化管出血や穿孔性腹膜炎を発症することで指摘されることも多い。

 

Zenker憩室は食道入口部付近にあり、下部食道の狭窄とは関係ない。

重症逆流性食道炎は食道狭窄を伴うこともある。

 

S状結腸からの血流は門脈を介して肝臓に入る。下大静脈系と門脈系の2つの血行性転移の経路があるのは直腸癌である。

Courvoisier 徴候とは、閉塞性黄疸の際に無痛性の胆嚢腫大を触知することで、胆嚢より乳頭側に胆道閉塞が生じることによって認められる。したがって膵頭部癌では認められるが、胆嚢癌、肝内胆管癌、肝門部胆管癌、肝細胞癌では認められない。