ss皮膚科2016~2014

2016②

全身性強皮症では、全身性強皮症(systemic type)では抗トポイソメラーゼⅠ(Scl-70抗体)が、限局性強皮症(limited type)では抗セントロメア抗体が陽性になることが多い。

 

内臓悪性腫瘍に伴って起きる皮膚疾患(デルマドロ−ム)として重要なものに

皮膚筋炎(→胃癌が最多。その他消化器癌や肺癌など)

後天性魚鱗癬(→悪性リンパ腫など)

黒色表皮腫(→胃癌が最多。内蔵悪性腫瘍に合併する)

レーザ−・トレラ症候群(→脂漏性角化症が数か月のうちに掻痒を伴って悪化するもの。胃癌など内蔵悪性腫瘍を合併する)

難治性皮膚瘙痒症

紅皮症

などがある。

 

ナローバンドUVB療法は光感作物質であるソラレンの内服を必要としない利点がある。

ナローバンドUVB療法はUVAと同様、尋常性乾癬、尋常性白斑(抗メラノサイト抗体による自己免疫疾患)、菌状息肉症(紅斑期)などがよい適応である。脱色素斑性母斑(メラニン産生能ひくい)では効果が期待できない。色素性乾皮症や慢性光線性皮膚炎ではUVBの照射は禁忌である。

色素性乾皮症→紫外線照射によるDNA損傷(ピリミジン二量体形成)を修復する機能の障害

慢性光線性皮膚炎→UVBに対する最小紅斑量が著明に低下する

 

紅皮症の原因を問う問題である。 紅皮症とは全身の皮膚が潮紅して鱗屑を伴う状態をさし、発熱や悪寒、脱水による口渇、リンパ節腫脹、低蛋白血症などの全身症状を伴いやすい。 紅皮症を来す主な原疾患

腫瘍性疾患:菌状息肉症、Hodgkinリンパ腫

アトピー性皮膚炎

中毒症

角化異常症:乾癬、扁平苔癬          など

 

癤・癰:黄色ブドウ球菌の感染による、毛包周囲の炎症

ひとつの毛包はせつ、複数の毛包に及ぶものはよう と呼ぶ。

切開時に粥状物が排出されていることから炎症性粉瘤が最も考えられる

 

疥癬である。近年は介護施設や長期療養型の施設での流行が問題となっている。疥癬トンネルや結節から虫体、虫卵が検出される。現在わが国で使用可能なのはフェノトリンローションの外用とノーベル賞を受賞した大村博士が発見したイベルメクチンの内服である(いちおうクロタミトンも)。γ-BHCは使用禁止となっている。アダパレンはざ瘡に用いられるレチノイド外用薬である

 

悪性黒色腫である。既にダカルバジン(DNA複製阻害剤)を投与され無効であったことから、ニボルマブやイピリムマブなどチェックポイント阻害薬の適応となる。BRAF変異が認められていないことからベムラフェニブは適応とならない

 

2015②

梅毒は全例届出が必要で、全数把握である。その他は定点のみの届出である。

 

内臓悪性腫瘍のデルマドロームとして、皮膚筋炎、黒色表皮腫、レーザートレラ症候群が有名である。乾癬はいわゆるメタボリック症候群との関係があり、環状肉芽腫は多発例で糖尿病との関係がある(環状肉芽腫は虫刺され、外傷、糖尿病などが原因で真皮結合組織が壊されることによる)。癜風は全身疾患との関係は乏しい。

 

選択肢の中で指標疾患に入っているのはカポジ肉腫、カンジダ症、フリプトコッカス症であるが、カンジダ症は食道、気管、気管支、肺に限られる。クリプトコッカス症は肺以外である。

→つまり臨床でよく見かけるやつ(皮膚カンジダや肺クリプトコッカスは逆にエイズ指標疾患からは除外される。)

 

KOH法…白癬菌カンジダ、癜風菌などの真菌、その他疥癬虫などの虫卵、虫体を観察できる

※Celsus禿頭は頭部白癬。ステロイドの誤用などで生じる

※癜風…夏季に多い。よく汗をかく首・脇・胸に多い。マラセチア。

 

指尖部虫くい状潰瘍は強皮症でみられる。

 

疥癬のSTDとしての側面

腋窩や外陰部、指間といったやわらかい部分に皮疹がみられることが多い。

夜間の激しいかゆみが特徴

 

口腔アレルギー症候群(Ⅰ型アレルギー)である。シラカンバによる花粉症との関係が知られており、交叉感作がある果物にリンゴ、モモ、サクランボ、洋ナシ、スモモ、アンズ、イチゴなどがある。

 

日光角化症である。高齢者の顔面など日光裸露部に多い。carcinoma in situ であるため、転移は起こさないが、有棘細胞癌に進展すると転移を起こしうる。

 

2014①

有芯顆粒はメルケル細胞が、層板顆粒、ケラトヒアリン顆粒は表皮ケラチノサイトが、メラニン顆粒はメラノサイトが持っている。Langerhans細胞が持っているのはバーベック顆粒である。バーベック顆粒は細胞内抗原輸送を行う。

 

?先天性表皮水疱症はK5,14,水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症はK1,10,の遺伝子変異による.接合部型はラミニン332など、栄養障害型はVII 型コラーゲンの変異による。尋常性魚鱗癬フィラグリンの変異による。

 

HPV6型、11型による尖圭コンジローマと、主にHPV16型によるボーエン様丘疹症は予防できると考えられる。ワクチンの効果は型特異的であるため、HPV2型などによる尋常性疣贅、3型などによる青年性扁平疣贅、ポックスウイルスによる伝染性軟属腫は予防できない。

 

汗管腫は眼瞼周囲に好発する。尋常性ざ瘡は毛孔一致性の丘疹で、眼瞼はむしろ稀である。顔面播種状粟粒性狼瘡は下眼瞼部、上口唇部、前顎部、頬部に好発する。多発性丘疹状毛包上皮腫は眼瞼内側より鼻背部、左右鼻唇溝部、口囲に好発する。結節性硬化症でみられる血管線維腫は頬部中心にみられる。

 

円形脱毛症である。高頻度にみられる疾患であり、特に合併症がない場合も多いが、橋本病などの甲状腺疾患、糖尿病などの内分泌疾患、アトピー性皮膚炎などに合併してみられることがある。自己免疫疾患であっても水疱性類天疱瘡との合併は稀である。

 

膿疱性乾癬である。乾癬に対し強力なステロイドを長期間使用していたことと、それを急に中止したことにより急速に膿疱化したものと考えられる。組織学的にはKogojの海綿状膿疱がみられる。類上皮細胞肉芽腫はサルコイドーシスなどで、Pautrier微小膿瘍は菌状息肉症で、白血球破砕性血管炎はアナフィラクトイド紫斑などで、真皮表皮境界部の液状変性は扁平苔癬などでみられる。

 

光線過敏型薬疹はサイアザイド系降圧薬、キノロン系抗菌薬、オキシカム系NSAID、ダカルバジンなどでみられる。

 

DDSはもともとハンセン病に用いられたが、色素性痒疹、急性苔癬状痘瘡状粃糠疹、持久性隆起性紅斑などにも有効である。

 

圧痛が起こりやすい皮膚良性腫瘍として A:angiolipoma N:neuroma G:glomus tumor E:eccrine spiradenoma  L:leiomyoma(angio)S:Schwannoma(ANGELS)などがある。脂肪腫はやわらかく触れるため触診所見も異なる。ガングリオンは関節近傍に生じ、疼痛はない。粉瘤も炎症を伴わなければ疼痛は無い。